広告

学振の話〜申請する以前の話〜

広告

なんだか、「学振 ブログ」とか検索して当サイトにたどり着く方がおられるようなので、少し学振について書いておこうと思います。
そもそも学振ってなんぞ?って方は、日本学術振興会のHPをご覧ください。

日本学術振興会

本稿が対象とする読者は、D進を悩んでるM1、M2あるいはもう進学しちゃったD勢です。かつてD勢だったPDより上の立場の方は、「在学中はそんなだったなー」と生暖かく見守ってくれればと思います。

どうするD進!?


D進を考えだすのはいつ頃からでしょう?
分野にもよると思いますが、就職活動が始まってから悩むくらいならとっとと就職してしまったほうが良いと思います。ドクターでやりたいこと(=学位を取るためにやる研究)のビジョンがはっきりしてないなら、進学はすすめません。指導教員との話し合いも必要ですが、遅くともM1の夏くらいには進学するか就職するかを決めてしまうのがおすすめです。
時期的には、夏のインターンが始まるころなので、それに参加してから決めてもいいかもしれません。就職するにしても進学するにしても、進路を決めるのは早いに越したことはありません。
就職するか、進学するかで修士の間の過ごし方が大きく変わるからです。


D進を決めたなら


進学するなら必ず学振(DC1)に応募しましょう。申請書の交付はM1の終わり頃、申請の締切はM2の5月頃になります。もちろん、採用されれば御の字ですが、最も重要なのは研究の最初期に研究計画と予算申請書を書くことです。
数ページの研究計画を書く段階で、これからの研究に必要な要素や実験あるいは問題になる事柄が浮き彫りになります。行き当たりばったりに研究を進めても、3年間でまとまった研究成果を挙げるのは困難を極めます。スムーズに研究を進めるために、始めから研究の大筋を立てておく必要があります。
また、予算関係の書類を触るようになれば、研究活動の経済性を嫌でも感じるようになります。高価な機器はより一層慎重に操作するようになりますし、消耗品の使い方も丁寧になります。この経済感覚は、修了後に就職するにしろアカデミックに残るにしろ大切なものに違いありません。

「どうせ採用の見込みもないし、書くだけ無駄だ」なんて考えてはいけません。不採用でも申請書の評価点が通知されるので、何が悪かったのか考える機会になります。申請書を書く課程で、論理的な文章を書く練習になりますし、研究が順調にすすめば申請書がそのまま論文の元になります。大事なことなので何度でも言いますが、重要なのは採用されることではなく、申請書を真剣に書くことです。逆に、指導教員に書いてもらって採用されても月20万の研究奨励費をもらえる他には何の意味もありません。「学振取ってるくせにこの程度かよ」となる危険性を考えれば、月20万程度の報酬じゃわりに合わないはずです。

学振を申請しよう


書くのが大事だ、採用可否は二の次だ、なんて言っても書くからにはやっぱり採用されたいわけです。では、どうするか?
通りやすい申請書の書き方やら、テクニックやらは至る所に記事があると思いますので今回は割愛し、どういう行動をしておけば良いのかを記します。

申請の心構え

まずは、「うちのラボは弱小だし、コネもないから採用されないだろう」という考えを持っているならすぐに捨ててください。コネが全く有効ではないとはいいませんが、重要なファクターではありません。単に、重要なファクターを押さえられている人はコネを持っている場合が多いだけです。

重要なファクターとは何でしょうか。私は次の三点だと思っています。

①申請書の質(テーマ設定、文章構成、読みやすさ)
②申請段階までの研究業績
③申請する分野の選択

①の申請書の質に関しては言うまでもないでしょう。別の記事で掘り下げたいと思います。
②に関しては、直前になってからではどうしようもない問題です。ここで先に書いた「進学か就職か早めに決めろ」が効いてきます。B4の段階からD進を決めていれば丸々2年間の時間があります。最初から指導教員にD進する事を相談していれば、(まともな教員なら)学振の業績欄を埋められるように、学会などに積極的に送り出してくれるはずです。その程度の思慮もしてくれない教員の元で博士号を取るのは、非常に苦しいので特別な事情がないならおすすめしません。
③分野に悩まない人は問題ありません。ただ、昨今の研究事情を鑑みるに、いわゆる境界領域で研究をしている場合には、どこで申請すればいいのか悩むところかと思います。近くに申請経験のある先輩がいれば、その人の申請書と評価書を見せてもらうといいでしょう。また、審査員だった人の名簿(現役審査員は非公開ですが、任期終了時に公開されます)をみて、近い分野で申請するなどの工夫があってもいいかと思います。

妬む前に書け、羨む前に書け


さて、上述の様に卑屈になっている人が多いのも事実です。
そこで私の事を少し書こうかと思います。
私はDC1に採用されていますが、総勢6名の小さなラボに所属しています。ボスも決して業界内で有名なわけでもなく、年間に発表される論文もせいぜいM2の人数分程度です。某掲示板などで言われているようにコネが重要であるならば、決して採用されるはずのない人物です。

なぜ採用されたのか、後になって考察した結果が本稿です。
後になって、他の採用者やビックラボ所属のドクター学生に話を聞いたところ、毎年学振採用者の出るラボにはいくつかの共通点があることがわかりました。すなわち、

1. 修士の段階から論文を出す。しかも学生自身に書かせ、後からボスが修正するスタイル。
2. 過去の先輩のダメだった申請書、採用された申請書がストックされている。
3. M2の書いた申請書をドクターの先輩が数人で読んでいる

思えば、1.は私のボスが私に課していた仕事ですし、2.に関しては専攻内で頭を下げて集め回りました。最後の3.も、ドクターの先輩こそいませんでしたが、専攻内の複数の教員に読んで貰い、アドバイスを貰いました。


最後に


以上、学振に採用されるためには、やはりそれなりの活動を経なければなりません。
更に言えば、DC1申請者なんてほとんど対した業績がないのが当たり前ですから、論理的で読みやすい申請書ならかなりの割合で採用されるはずです。人がどうだとか、コネがどうだとか言う前に自分の書いた申請書を客観的に評価するべきです。落ちるのなら落ちるなりの、採用されるなら採用されるなりの理由が必ずあります。
偉そうな事ばかりを書きましたが、本稿がこれから学振を申請する皆様の一助になれば幸いです。

広告