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TPP大筋合意:知財章の中身(2)

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下の記事の続きになります。mitsukix.hateblo.jp

商標

1.条約加入の義務付け
マドリッド協定議定書又はシンガポール商標法条約の加入を義務付けるとのこと。日本はどちらも加入済みかつ法改正で対応済みなので、変化はない。

2.商標不正使用の厳罰化
法定損害賠償制度又は追加的損害賠償制度を設けるそうです。法定賠償額の規定は商標法38条にあります。追加的損害賠償というのは日本にはありませんが、追加の民事訴訟を認めたりするのでしょうか。また、損害賠償請求権の範囲が各国で異なるので、このあたりの法理も整理される事と思います。

特許

1.特許期間延長制度の義務付け
合意内容には

出願から5年、審査請求から3年を超過した特許出願の権利化までに生じた不合理な遅滞につき、特許期間の延長を認める制度

とあります。現行法では行政処分による実施不可期間以外には延長制度がありませんので、確実に追加される項目になります。

2.新規性喪失の例外規定
特許法30条に対応するものですが、合意では「公表日から12月以内」とされています。現行法では「公表日から6月以内」ですので、確実に改正されるでしょう。個人的にはEUとアメリカ・日本等で異なっている29条の2(いわゆる拡大先願)について規定がないのが違和感です。統一しないのでしょうか。

知的財産権保護の権利行使

TRIPS協定やACTA(偽造品の取引の防止に関する協定)と同等又はそれを上回る規範の導入とあり、例がいくつか列挙されています。
関税法不正競争防止法などの一部が改正されるかもしれませんが、日本はTRIPS協定もACTAも既に批准済みですので大きな変更はないかと思われます。

地理的表示(GI)

GIは主に農林水産物の産地等表示によって生じるブランドイメージ等の保護の為にあります。商標法でも地域団体商標として特別に制度が設けられているため、保護の対象・制度によっては様々な箇所に改正が入る可能性が高いと思われます。


最後に次の記事では、いろいろなところで議論が交わされている著作権に関して書きたいと思います。

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