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生活保護VS学振研究員

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学振研究員の手続きやら税金の話を書いたエントリーがアクセスを集めているようで私の小さな自尊心が満たされていっている。
mitsukix.hateblo.jp
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業績的に華々しい学振研究員だって、意外と余裕がないってことがちょっとでも伝わっていれば幸いである。実はこの学振の貧困ぶりってのは、ネット上でたびたび話題になる。そしていつも言われるのが「生活保護のほうが(経済的に)マシじゃね?」っていう問題。いくら研究費が年間100万前後あるとはいえ、公費ではQOLは向上しない。

ってなわけで、今回のエントリーでは修士課程を修了した学生が独立生計としてD進した場合の経済事情について、「生活保護VS学振研究員」という目線で比較記事を書いてみる。

学振の収入…

これに関しては過去記事を読んで貰いたい。
支給額は毎月20万円(税別)で、国民年金国民健康保険、住民税・所得税がかかる。当然学費もかかる。
今回は簡単のために、採用二年目で年間総収入が240万円、学費の免除はなし、賃貸暮らしで毎月の保険なし、不動産所有なしの25歳独立生計者として考える。

1. 国民健康保険

東京都文京区(東京大学)の場合で年間139,212円、北海道札幌市(北海道大学)で年間202,087円と幅があるが、だいたい13万〜20万程度。

2.国民年金

全国どこでも毎月16,260円。年間で195,120円。

3.住民税・所得税・その他税*1

上の社会保険支出からだと、年間の住民税が99,800円、所得税が46,200円かかる。さらに平成49年までは復興特別所得税として970円が徴収される。

つまり、手元に残るのは
2,400,000-(150,000+195,120+99,800+46,200+970)=1,907,910円となる*2

ここから更に学費が支出されて残った分が可処分所得となる。国立大で学費免除がない場合、学費は通常、年間535,800で可処分所得は1,372,110円。私学だともっと学費が高くなり、可処分所得は減る。

生活保護の収入

生活保護の支給額は実は一定ではない。同じような資力でも家庭環境や家族の健康状態によって細かく変動するからである。実際にいくら支給されるのかは個々人で厚生労働省の出先機関の相談窓口に行って欲しい。
必ずしも正確な金額ではないことを断った上で、上述のケースでどの程度の保護が受けられるのかを算定する。
行政書士によるツール*3を使って計算すると、東京都23区内の場合、月額132,930円(年間1,595,160円)
各種税金や公共料金・医療費の支払いも一切免除される。おそらく、生活保護がもらえるようなら学費の免除申請も通るだろうから、学費もかからない。しかも就職活動時にはその支援として月額28,000円が受給できる。
ただし、生活保護を受けながら就職活動をせずに学生を続けるのが認められるかはわからない。

結論

経済的には生活保護が圧勝となってしまった。ここまで差があるとは思いもしなかった。
しかし、手放しで生活保護に軍配があがるわけではない。保護を受けているとケースワーカーからあれこれと生活の指示を受けなければいけないし、貯金も20万円までしか認められないなど様々な制約がある。

優秀だけど学振落ちて進学できなくなってしまった上に家庭からの援助も期待できず、それでも進学して研究がしたい人には生活保護も有りなのかな?
むしろ学振の支給が生活保護と同等以上(可処分所得160万円以上)になるようになったほうが建設的だろう。

*1:このサイトで計算させてもらった。税金計算機 | 所得税・住民税簡易計算機

*2:健康保険料は15万円とした

*3:生活保護 金額 自動計算 - 布施弘幸 行政書士事務所

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