学振採用後
今日、学振の結果通知があった。面接免除の人、おめでとう。面接通過の人、もうひとがんばり。残念ながら不採用だった人は、審査結果のフィードバックを踏まえて、採用者の申請書と自分の申請書を比べてみよう。何か違いがあるはずだ。今、その違いに気づいて来年の5月まで研究に勤しめば、きっと来年はもっといい申請書がかけるはずだ。
さて、昨年採用された私は、ちょうど年末調整の書類と向かい合っているわけだが、採用に浮かれている人に対して少し難しいめんどくさいをしようと思う。すなわち、税金の話だ。
学振研究奨励費の仕組み
詳しくは、学振のしおりみたいなのが送られてくるので、読めばいいが、研究奨励費は次のような扱いになっている。
・振り込みは毎月20日。20日が金融機関の休日の場合は休み明け。*1
・振り込み額20万円はご存じだろうが、これれは税別。実際は所得税が抜かれて197,330 円又は195,240 円。*2
・これは給与ではない。あくまでも研究奨励費。研究生活を補佐するためにお金である(学振の主張)。
・給与でないから、学振と研究員には労働契約はない。すなわち、各種税金・保険は自分らでなんとかしなさい。
・ただし、口座には キュウヨ)として入ってくるし、副業も全面的に禁止されている。義務はあるが権利はない。
・4月は振り込みがない。5月に2ヶ月分の振り込みがある。今のうちから4月の生活預金をするべし。
所得税のしくみ
・給与ではないが給与所得とあつかうので*3、所得税および住民税がかかる。このうち、所得税は学振に天引きされる。
・所得額=収入ー控除額できまり、所得税は所得に応じた額になる。計算の期間は年度ではなく、元旦から大晦日までの1年。
・収入は240万円(1年目は180万円)で固定なので、所得税を節税するためには、控除額を増やす必要がある。
・学振では、研究遂行経費を控除するしくみがある。研究奨励費の三割以上を経費にする見込みがないと申請するなって書いてるけども、関係ない。少なくない金額を自腹で払う予定があるなら、申請したほうがいい。これは年度の初めにしか申請できない。
経費の例)研究費で落とせるものは何でも可→基本は研究費でなんとかする。
それ以外の例)研究費で足がでた分の自費はもちろん、学会個人登録費、家の通信料(研究に必要な場合)、大学までの交通費など。
住民税のしくみ
固定額+所得に応じた額が徴収。徴収先は元旦に住所を有している地方自治体。所得は前年度のものを基準にするので、学振1年目は対した額ではないが、2年目からはそれなりの負担になる。ここも控除額を上げて所得を減らすしか節税策はない。
節税! それは控除の獲得
只でさえ少ない支給額をなるべく減らさない為にはどうすればいいか。節税である。控除額を増やせば、収入に対して所得が減るので、嬉しいことばかり。控除できる項目は以外に多いので要チェックだ。
・3割控除申請
所得のうちで研究経費として使った額は控除される。最大で3割。しかし、これをつかう為には、年度初めに学振に申請しておく必要がある。月々の所得税の天引きが緩くなる一方で、確定申告時に控除額が3割に達してないと不足分の追徴課税がある。申請して不利はない。
・勤労学生控除
学振1年目だけが使えるある種の裏技。詳しくは国税庁HPを参照。
No.1175 勤労学生控除|所得税|国税庁
1) 給与所得などの勤労による所得があること
(2) 合計所得金額が65万円以下で、しかも(1)の勤労に基づく所得以外の所得が10万円以下であること
例えば、給与所得だけの人の場合は、給与の収入金額が130万円以下であれば給与所得控除65万円を差し引くと所得金額が65万円以下となります。
(3) 特定の学校の学生、生徒であること
(1)(3)は学振DCなら問題なしです。「給与所得=収入ー給与控除」を忘れずに計算をしますと、学振1年目の収入は180万+TA等です。研究経費申請をしていれば、自動的に180万の内の3割はひとまず経費扱いとして控除されるので、控除額は給与控除65万円を引いて、「61+TA等」が一年目の給与所得となります。つまり、採用年度前の1ー3月のアルバイト等収入+TA等の収入が4万円以下であれが勤労学生控除27万円分が受けられて、所得税・住民税が割り引かれます。二年目以降はどう足掻いても給与所得が65万円を超えるので使えない節税法です。
・保険および年金の控除
生命保険・自陣保険・国民年金・年金基金・国民健康保険等に支払った金額は控除の対象となります。学生身分の証明で支払いを猶予して貰う事も可能ですが、支払っているのであれば、もれなく控除申請をしておきましょう。
・医療費控除
10万円以上の医療費に関して控除が受けられます。この「医療費」には医師・薬剤師の医療点数の他、はり・きゅうや介護も含まれます。詳しくは国税庁のHPへ
No.1122 医療費控除の対象となる医療費|所得税|国税庁
・奨学金
残念ながら、奨学金の返済は控除されません。無利子の貸与であれば、学生身分を証明して猶予してもらうのが無難でしょう。
その他一般の控除(配偶者控除等)についても国税庁HPにありますので、自分が対象になっているものは迷わず申請しましょう。
所得金額から差し引かれる金額(所得控除)|所得税|国税庁
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