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読ませる文章

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さて、引き続き文章を書くための準備の話。
ESの書き方を知りたい方が多いようだが、もう少し準備が必要なのでご辛抱いただきたい。
これまでのエントリーで文章作成上の禁則事項、実際に文章を書く前に作る構成の話をした。
作成したアウトラインに基づいて早速作文を始めるわけだが、実際に書き出すを様々な問題に突きあたる。
ケーススタディとしてそれぞれの対処法を学び、対応力をつけてもいいのだが、それではいつまで経っても人を引きつけ、読ませるだけの魅力ある文章は書けない。
これらの問題を解決するには、たった二つのとても大切な意識を持つだけでよい。
まぁ、実際にはそれに伴う語彙と話法を知っていないとダメなわけだが、母国語で作文をする場合はそれほど大きな問題にはならないだろう。



自分は何がしたいのか?

一つ目はその文章を書いて、自分は何をしたいのかを明確に意識しなければならない。
そんな当たり前の事、誰だってできる!という声が聞こえてきそうだが、案外できない。
一番多いのは、一文一文ごとあるいは段落ごとにはまとまった主張があるのだが、文章全体を通して一貫した主張のない文章だ。このケースでは、どこかで聞いたことのあるフレーズや言葉回しが頻繁に使われる。ひどい場合は段落ごとのコピペになっていたりする。これらのパターンは「借文」になっており、自分の言葉で文が書けていない点に問題がある。
これはアウトラインの作り込みが浅かったり、書いてる途中で考えが変わったりした場合に発生する問題なので、ペンと取る前にアウトラインの作り込みをすることで比較的簡単に回避できる。

著者の気持ちの変遷を楽しむ自伝や、登場人物の変わり様を楽しむ小説にはこれらの技法が必須だが、何かを主張した文章で使うとまとまりのない駄文ができる。
一文で表現したいこと、一段落で伝えたい事、文章全体で伝えたい事を個別に設定するのが、全体をまとめるためのコツになる。


読む相手はだれなのか?誰に届ける文章なのか?

自分の意思ももちろん大切だが、読む相手のことも意識しなければ伝えたい事柄は伝わらない。
順番的にはアウトラインを作る前に考えないといけないポイントだが、作文の途中でも常々意識していないと読者のことを忘れがちである。
読者の知識レベル、知りたがっている事柄、意識の向いている先などによって同じ文章でも評価が分かれる。
小学生に対して専門用語をふんだんに使った正確な説明をする人はいないし、スペックシートに「大きい」とか「いっぱい」などの定量性のない表現は適切でない。
たとえば、就職活動におけるESの場合でも、書類選考の担当者が人事部なのか研究部なのか営業部なのか役員なのかで、読む視点も求める情報も異なるのだから、相手に合わせた作文をしなければ意味が無い。


徹底したReader Friendlyを!


これらの意識に共通することは、「魅力的な文章」を書くことではなく、「お願いして読んでもらう文章」を書くことである。
多くの場合、読み手は書かれてある文章を読むためにさほど労力をかけてくれない。読んでわからなければ、わからないままである。
自分が伝えたいことを十全に伝え、相手に届けるためには、読み手が何も考えずとも、文章を始めから順に読めば理解できるように、書き手側が配慮しなければならない。

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